眼の水晶体の被ばく限度の見直し等に関する検討会の報告書について

水晶体被ばく線量調査

2018年12月に電離放射線障害防止規則(以下、電離則)における水晶体の被ばく限度の見直し等に伴う所要の改正に資することを目的に厚生労働省の「眼の水晶体の被ばく限度の見直し等に関する検討会」設置された。

現在、眼の水晶体の等価線量は年間150 mSvを超えないとされているが、今回の報告書は放射線審議会の意見具申を電離則等関係法令へ取り入れるに当たっての労働衛生管理上の留意点、問題点等について、科学的調査の結果等を踏まえ検討を行い取りまとめられたもので、電離則等関係法令の見直しの方向性等が示されている。

眼の水晶体の被ばく限度の見直し等に関する検討会の報告書

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06824.html

報告書概要

「眼の水晶体の被ばく限度の見直し等に関する検討会」により、報告された報告書の概要を示す。

新たな水晶体の等価線量限度の取り入れについて

1.眼の水晶体の等価線量限度を5年間の平均で20 mSv/年かついずれの1年において50 mSvを超えないこととすることが適当である。

2.十分な放射線防護措置を講じても、なお高い被ばく線量を眼の水晶体に受ける可能性のある者については、一定の期間、眼の水晶体の等価線量限度を50 mSv/年を超えないこととすることが適当である。

3.眼の水晶体に受ける等価線量が、継続的に1年間に20 mSvを超えるおそれのある者に対しては、健康診断の項目の白内障に関する眼の検査の省略は認めないことが適当である。

4.眼の水晶体の等価線量限度の1年間及び5年間の始期は、実効線量の1年間及び5年間の始期と同じ日を始期とすることが適当である。

5.施行時期は、電離則以外の法令の施行時期と整合を図ることが適当である。

水晶体の等価線量を算定するための実用量について

1.外部被ばくによる線量の測定を、実効線量及び人体の組織別の等価線量を算定するため、放射線の種類及びエネルギーに応じて、1センチメートル線量当量、3ミリメートル線量当量又は70マイクロメートル線量当量のうち適切なものについて行うことが適当である。

2.眼の水晶体の等価線量を正確に評価するためには、眼の近傍や全面マスクの内側に放射線測定器を装着して測定することが適当である。

3.眼の水晶体の等価線量の算定は、放射線の種類及びエネルギーに応じて、1センチメートル線量当量、3ミリメートル線量当量又は70マイクロメートル線量当量のうちいずれか適切なものによって行うこととすることが適当である。

4.眼の水晶体の等価線量の算定及び記録の期間は、3月ごと、1年ごと及び5年ごとに行うこととすることが適当である。

特に、循環器内科、消化器内科、消化器外科、放射線診断科、整形外科では1年間に20mSvを超える医師の割合が高いこと、循環器内科、消化器内科、整形外科、脳神経外科では1年間に50mSvを超える医師がいることが明らかになった。

今回の見直しに当たっては、医療従事者と患者の健康確保が図られるべきである一方、新たな限度が適用される場合、必要な診療ができなくなる懸念も示されている。防護クロス、遮蔽板、防護眼鏡等により適切な放射線防護措置を講ずれば1年間に受ける眼の水晶体等価線量の推計値を20 mSv以下に保つことが可能なことを示す実態調査はあるが、医療従事者の健康リスクに懸念があるため、放射線防護の最適化を行う必要がある。

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